Diary 2006. 8
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8月11日 (金)  ビュユック島

2006年4月の“トルコ便り”
http://www.neo-pro.jp/makoto/tayori/diary/diary.cgi?mode=read&y=2006&m=4

4月24日の“トルコ便り”で御紹介した旧居の大家さんは、マルマラ海に浮かぶビュユック島に別宅を持っていて、以前から良く招待されていたんですが、先週、ようやくこの島を訪れることができました。

イスタンブールはアジア側のボスタンジュから船に乗れば、ビュユック島まで30分ぐらいでしょうけれど、ヨーロッパ側のシルケジから乗った場合、船は他の島々へ寄りながらビュユック島へ向かうので、一時間半ほど掛かってしまいます。

島へは一般車両の持ち込みが禁じられている為、主要な交通手段として馬車が活躍しているものの、多分に観光用といった感じで、運賃はかなり高く設定されているから、それほど気軽に利用できるものじゃありません。港町からかなり離れたところにあるピクニック場へ、暑い中を沢山の人たちが歩いていました。

かつては、ギリシャ人やユダヤ人、アルメニア人といった非ムスリムの住民が多く、独特な雰囲気もあったそうですが、今は普通のトルコの街と比べてそれほど変わっているようにも思えません。

ギリシャ文字の看板を出しているレストランを何軒か見かけたけれど、大家さんによれば、“ギリシャ的な雰囲気を期待して来る観光客”の為に、わざわざギリシャ文字の看板を掲げているだけで、その殆どはムスリム・トルコ人の経営によるものなんだそうです。

写真では、海の向こう側にイスタンブールの市街地が見えます。

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8月12日 (土)  ムール貝

ビュユック島では、海に潜ってムール貝を採り、大家さんの別宅で、から揚げと炊き込みご飯にして食べました。

ムール貝は、浅瀬の岩に沢山へばり付いていて、潜ると言っても、足が着く程度の深さまでだけれど、貝を岩から引き剥がすのに手間取り、思ったほど簡単には行きません。

浅瀬には絶えず波が寄せて来るため、潜った位置でじっとしていることすら難しく、まず左手で適当な岩を掴んで波と浮力に抵抗し、右手で岩にへばり付いた貝をもぎ取るわけですが、あともう一息のところで、左手がずるりとすべって、波に流されながら浮上してしまうことが度々ありました。

おまけに私は強度の近眼なので、ムール貝を探すのも、殆ど“足探り”と“手探り”。まずは、足で探って貝がいることを確かめ、それから潜って手探りで見つけます。しかし、これでも簡単に見つかってしまうほど、ムール貝は大量に発生しており、群がっているところは、ボーッと黒く見えるくらいで、5〜6個がくっつき合った塊をいっぺんにもぎ取ることもできました。

また、岩場の浅瀬を素足で歩くと痛いから、靴下を履いたまま、海に入ったのですが、一度、かなり大きなムール貝が靴下にひっついて来て、そのまま収獲されたこともあります。ちょっとした道具でも用意して行けば、短時間で相当な量を取ることができるでしょう。この日の漁場は、ピクニック場の海岸とあって、ここは入場料を取られるけれど、只の海岸なら、ムール貝をいくら取っても只、まさに自然の恵みです。

しかし、このムール貝、繁殖力が旺盛で、どんな汚い海でも育ってしまい、場合によっては“貝毒”という中毒を起こすこともあるというから、ちょっと気をつけなければならないかもしれません。

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8月14日 (月)  クムカプの魚市場

ビュユック島であきるほどムール貝を食べた後、ふと“アサリは売っていないものか”と思って、ウスキュダルの市場などを通る度に探して見たけれど、これがなかなか見当たりません。

イスタンブールから300kmほどしか離れていないギリシャのアレクサンドロポリスへ行けば、ごく当たり前にレストランで“アサリ・バター”を食べることができたから、おそらくこの辺の海でもアサリは採れるはずです。しかし、殆ど市場に出回っていないところを見ると、トルコでアサリは余りポピュラーな食材とされていないのでしょう。

日本にいた頃は、頻繁にアサリを茹でただけの汁物を作って食べていたくらいで、私にとってアサリは重要な食材。車で山口県や福岡県の方へ行くと、ドライブインの食堂に大概“貝汁”というメニューがあり、これも丼一杯にアサリだけが入った汁物で、その方面に出掛けた時は必ず食べたものです。アサリは、色々と手の込んだ料理にするより、こうやって食べるのが一番美味しいのではないでしょうか。

それで、先日は、なんとしてもこの“アサリ汁”を実現させたいという思いに駆られ、ヨーロッパ側へ出た際、ついでの寄り道と言うには余りにも出先から離れている“クムカプの魚市場”まで行ったところ、やっとアサリを見つけることができました。ところがこのアサリ、値段を訊いて見ると、1キロが15YTL(1200円ぐらい)という法外なもの。通りすがりに見つけてこの値段だったら、「えっ? 15YTL!」と頓狂な声を上げて、そのまま通り過ぎてしまうところですが、わざわざ大回りして寄ったのと、“なんとしても”という思いに駆られていた為、暫く逡巡した末に奮発して買い求め、腹をすかしながら飛ぶように家へ帰り、丼から溢れんばかりの“アサリ汁”を作って一人であっという間に平らげてしまいました。同居人たちに勧めたところで、内陸部出身の彼らは食べ慣れていないものを決して口にしようとはしません。横から気色悪そうに一瞥するだけです。

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8月30日 (水)  ギュレンスの街

イスタンブールはアジア側の外れにあるギュレンスの街。8月の初めに用事で近くの街を訪れた際、丘のてっぺんまで家々が立て込んでいる光景と隣に見える岩山が気になって、思わず坂道を40分ほど登りつめてしまいました。

韓国のソウルへ行くと、こんな街のことを“タルトンネ(月の街)”なんてロマンチックな名で呼んでいますが、イスタンブールの場合と同様に低所得者層の街であることに変わりはありません。

暑い中を汗だくになって登りつめてみたら、てっぺんの直ぐ下に、反対側から登って来る市内バスの終点があり、少々拍子抜け。このバス停のある広場から、さらに隣の岩山目指して登って行くと、中学生ぐらいの子供が手を振っていたので、「メルハバ」と挨拶してやったのに、「ジャポン、ジャポン」と囃し立てた為、顔をそむけてそのまま登り続け、その先が軍用地で立ち入り禁止になっている地点まで登って一休みし、また同じ道を下って、さっきの子供が囃し立てていた所へ来たら、今度は二十歳ぐらいの青年が急ぎ足で近付いて来ました。

『また“ジャポン、ジャポン”か?』と思いながら立ち止まったところ、青年はちょっと改まった様子で「メルハバ」と挨拶し、「トルコ語解りますか? どちらの方ですか?」と訊きます。青年の丁寧な言い方にホッとしつつ、「日本人(ジャポン)ですよ」と答えれば、彼は「本当ですか?」と言いながら、なんだか残念そうな表情。日本人であると明らかにして、残念そうにされたこともなかったから、何事かと思っていると、青年が言うには、“ジャポン、ジャポン”と囃した子を、“顔だけ見てそんなことを言ってはいけない。モンゴル人や中国人かもしれないし、トルコ人である可能性もある”と言って諭したところだったのだそうです。まあ、それなら確かに残念なことで、お生憎様としか言いようがありません。

それから広場へ下りて、バス停前の茶店で冷たい物を飲んでいると、隣の席にいた連中が、「ジャッキー・チェン知ってる?」なんて言うものだから、『あーまたか』とうんざりしたけれど、話の続きを聞いてみれば、なんでも数年前にイスタンブールで映画のロケを実現させたジャッキー・チェン氏がこの広場にもやって来たのだとか。「ここでロケをしたの?」と訊いたら、「いや、ロケに使えるかどうか様子を見に来ただけのようでしたね」と、これまた残念そうに話していました。ジャッキー・チェン氏も下からこの丘を見上げて、“ムムッ、あそこは面白そうだぞ”と思ったのかもしれません。

左の写真で海の彼方に見えるのはヘイベリ島、丘の影に隠れてビュユック島もかすかにその姿を見せています。右の写真は、逆にビュユック島から丘の方を撮ったものです。

ジャッキー・チェン氏がイスタンブールでロケした映画:アクシデンタル・スパイ
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32572/

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8月31日 (木)  チンチャンチョン

“ジャポン、ジャポン”と囃したてる子供にそれほど悪気はないんだろうけれど、多少とも嘲笑的な気分はあるはずです。これが、“チンチャンチョン”と囃したてる連中になると、かなり悪気を持って嘲笑しているような気がします。

しかし、この“チンチャンチョン”というのは何処から出てきたものなんでしょうか? “とほほの主婦インSWEDEN”というサイト(http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/6199/ahaha.html)の以下のコラムを読んで見ると、スウェーデンでも東洋人を嘲る言葉として“シンションシャン”というのが使われているようです。まあ、日本でも昔は“シナチャンコロ”などという言葉が使われていたこともあったようだから、あまり他人のことばかり言ってはいけないかもしれません。

日本人で悪いか!?
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho7.html

日本人で悪いか!? その2
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho7b.html

このコラム、なんとも恐ろしい話でありますが、さすがにトルコの場合、ここまでエスカレートすることは全く考えられません。子供たちが嘲笑的に囃したてる程度のものです。とはいえ、なかには良い大人がやっていることもあって、これは困ったもんだと思うけれど、以前、中年のトルコ人女性から、優しげに“チンチャンチョン”と微笑み掛けられた時は、どんな顔して良いものやら解らなくなってしまいました。このおばさん、チンチャンチョンは東洋人に対する挨拶の言葉であると思い込んでいたのでしょう。