Diary 2003. 8
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8月1日 (金)  イスタンブールの市バス

イスタンブールでは、現在、市バスのチケットが百万リラ(80円ぐらい)。トルコの物価で考えるとかなり割高かもしれません。これが、市内のヨーロッパ側からアジア側へと二つの大陸をまたいで移動した場合、チケットを2枚出さなければならなくなります。

で、昨日のことなんですが、私はヨーロッパ側のタクシムからやはりヨーロッパ側のベシックタシュへ行くためにターミナルでバスを探していました。そこへ、ドア横の行き先と経由地を示す電光掲示板に「ベシックタシュ」とだけ記されたバスが目にとまったので、急いで乗り込み、運転席の脇にあるチケット入れに一枚投じたところ(イスタンブールの市バスは全てワンマン)、運転手が「向こう側まで行くからチケット2枚だ」とぶっきらぼうな調子で言います。

「あれっ? ベシックタシュに行くんじゃないの?」

「ベシックタシュは通るさ。けれどこのバスは向こう側まで行くからチケット二枚だよ」

「でも、そこにベシックタシュって書いてあるから乗ったんで、ベシックタシュで下りるんだけどね」

「どこで下りようと、このバスはチケット二枚だ。全く何でも分かっているくせに、これだけは知らないとでも言うのか?」

たしかに、ワンマンでは乗客がどこで下りるのかチェックのしようもないから、これはもっともなことかもしれませんが、それならそれで、はっきりと分かるように表示すべきでしょう。運転手の言い草にも腹立たしいものがありました。

「それなら、他のバスに乗りますから、チケットを返してくれませんか?」と訊けば、返せないと言うし、結局押し問答の末、そのままチケット一枚でベシックタシュへ。

一緒に降りた乗客3人と少し話したのですが、「気持ちは分かるけど、私達だってチケット二枚でここまで来ているんだ」と言われて、なんだか私だけゴネ得したような感じになってしまいました。しかし、あんな表示の仕方では、間違えて乗る人が他にいないこともないだろうし、皆どうしているのか気になります。チケットではなくて、アクビルというプリペイドカードのようなものを使った場合、そもそも払い戻しは効かないわけで、殆どの人が文句も言わずに諦めているのかもしれません。もっと皆で文句を言えば、改善されることもあるんじゃないかと思うのですが、これはゴネ男の勝手な言い草でしょうか?

ドルムシュと呼ばれている乗合タクシーで、行き先を間違えて乗った客が、少し走ってからそれに気がつくと、運転手が車を止め、下りてからどの車に乗れば良いのか丁寧に教えた上で代金を払い戻しているのを見たこともあります。しかし、これはもちろん改善された結果じゃなくて、この運転手さんが本当の意味で心から親切な人だったということなんでしょう。

タンシャスというチェーン展開しているスーパーマーケットのコマーシャル。人の良さそうな中年男性が、他のスーパーで買い物をして商品をレジに置くと、マニキュアの手入れをしていた若い女が面倒くさそうに、

「一千万リラ!」

「えっ? 値札には百万って書いてあるんだけれど」

「なんかの間違いでしょ。それは一千万なのよ。あんた文句あるの?」

店員に凄まれて、おじさんがタジタジとなっているところで場面が変わり、「タンシャスなら、こんなことはありません」とアナウンスされ、タンシャスからニコニコ顔で出てくるおじさんが映し出されます。

まあ、クレームが来ないようにとマニュアル化された親切だけが行き交うというのも何だか世知辛い気はしますが、残念ながら資本主義社会の発展とはこういうことなのかもしれません。


8月8日 (金)  トルコサッカー国内一次リーグが始まる

今日からいよいよトルコサッカーの国内一次リーグが始まるようです。これが第46回目のシーズン。

18のチームが優勝杯を争うことになります。しかし、今まで優勝杯を手にしたのは、ガラタサライ、フェネルバフチェ、ベシックタシュ、トラブゾンスポーツの4チームに過ぎません。昨シーズンの優勝はベシックタシュ。しかし通算では、ガラタサライが断トツの15回。

今日の新聞には、この他、今までに作られた種々の記録が書かれていて、この中からちょっと面白いものを拾って見ると、

「最多ゴール試合/91−92年度のフェネルバフチェ対ガジアンテップスポーツ(8−4)」
「最多連勝記録/ベシックタシュの48試合」
「シーズン最優秀成績/88−89年度のフェネルバフチェによる36試合29勝6引き分け1敗(最悪は96−97年度のゼイティンブルヌスポーツで34試合2勝27敗)」
「シーズン最多ゴール記録/87−88年度にタンジュ・チョラック選手がガラタサライで記録した39」
「最も長期間活躍した外国人選手/ナイジェリア出身のウチェ・オケチュク選手で93−94年度から継続中(但し、この選手は既にトルコ国籍を取得)」

というように色々ありますが、ちょっと意外なところでは、こんな記録も出ていました。

「最も長期間に亘ってゴールを許さなかったキーパー/78−79年度のトラブゾンスポーツにおけるシェノル・ギュネッシ選手(現代表チーム監督)で1112分間」

ギュネッシ監督は選手としても一流だったようですね。


8月26日 (火)  久しぶりにトルコを満喫。

金曜日にパソコンが壊れてしまい、昨日、朝からイスタンブール市内にある東芝の代理店に行き、一日掛かりで直して来ました。ブラルさんという一応、技術責任者の肩書きを持つ人が担当してくれたのですが、ああでもない、こうでもないと結局10時間以上も奮闘の末にやっと修復。しかし、最後の難関となった記録の復元は、夜遅くなってからやって来た、アジア側にある代理店の本部に勤務するという人が、ちょこっと操作しただけで、いとも簡単に解決したところを見ると、どうやらブラルさんのやり方に問題があったようです。

この修理業務は一応、有料だったわけで、日本なら向こうも恐縮するだろうし、こっちもムッとしたのではないかと思いますが、ここの場合、ブラルさんとは、午前中と夕方以降、恐らく6時間以上は付き合ったことから、なんだか友達のようになってしまうし、他の代理店の連中とも冗談を言い合ったりしながら、結構楽しい時間を過ごすことができました。久しぶりにトルコを満喫したような気分です。彼らは「私達が言うのも何だけれど、トルコは良いところでしょ」なんて言ってたけれど、確かに彼らと夜遅くまで、あんなアホなことやって楽しい気分でいられるなんて、これはやはり良いところであるに決まっています。

この日のラディカル紙には、フランスに住んでいるのではないかと思われる、コラムニストのアレックス・アキムオウルという人が、人情味溢れるトルコの社会を懐かしみながら「イスタンブールで見る夕暮れは格別である。私は長年フランスで暮らしていて、フランスでも美しい夕暮れを見ることができるけれど、どこか一味違う」と書いていました。

アキムオウルはトルコ風の姓ですが、アレックスというのは、どう考えてもムスリム・トルコ人の名前ではありません。異教徒のトルコ国民ではないでしょうか。まあ、いずれにせよ、このアレックスさんの言いたいことは、良く解るような気がします。