【241】大国とのダンスは注意を要する【ミリエト紙】【2010.10.11】

10月11日付けのミリエト紙より、セミヒ・イディズ氏のコラム。トルコと中国の関係強化について論じています。

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トルコに対する態度を決めるよう、エルドアン首相がヨーロッパへ呼びかけた発言は、西欧外交筋の注意を引いた。この呼びかけは、トルコが西欧、分けてもEUに対して懐いている失望と怒りの入り混じった感情の表出であると受け止められているだろう。これは、確かにそうかもしれない。

そんな状況の中、温家宝首相の来訪は、政府を喜ばせたはずである。エルドアン首相のEUに対する発言を考えるならば、政府は、これで西欧へ「トルコには選択肢が残されている」というメッセージを伝えたに違いない。

温家宝の来訪により、貿易額が170億ドルから500億ドルに増加するとか、決済がトルコ・リラと人民元建てになるといった決定が下されたのは、この点から言って重要である。

しかし、ここで国際関係における二つの基本的な法則を思い起こしてみよう。一つは、あらゆる国家が先ず始めに自分の利益を守ること。もう一つは、国際関係に感情の立ち入る隙がないことだ。

忘れてはならないが、温家宝はトルコへ来る前に、一週間の欧州歴訪でギリシャを訪れていた。そして、重要な協定に署名している。それは、ギリシャも経済危機を脱するのが容易になったのではないかと思うほどのものである。

国際関係における二つの基本的な法則は、もちろんトルコにも通用する。パレスチナの問題で、世界を大騒ぎさせた政府が、ウイグルの問題では中国を非難していない。何故か? 政府は、感情に溺れることなく現実的に対応し、国益を優先させたからだ。

一方、ザフェル・チャーラヤン国務相は、発展する中国との貿易関係に喜んでいるものの、実業界には、これがトルコにとって、どのくらい利益になるのか疑う人たちもいることを忘れてはならない。双方とも、生産を請け負っている国であり、この点である一線を越えれば、お互いが競争相手になってしまう。

西欧に腹を立てて、「中国のような選択肢もある」と言うのは、リスクを伴うだけではない。今日、中国は、アメリカとヨーロッパに対して、トルコとは比較にならない経済関係を築いているのである。

さらに、中国が世界経済を動かす経済大国であるのに対し、トルコには未だ脆弱な中規模の経済力があるに過ぎない。この為、中国との密接な経済関係は、ある面で、国際商法を余り認識していない大国と同衾するようなものだ。

“大国とのダンス”が、いつも望みどおりの結果になることはない。例えば、先週、ロシアのメドヴェージェフ大統領は、南キプロスを訪れて関係を築き、トルコ政府を非常に悩ませている。

それは、単にメドヴェージェフが南キプロスと結んだ“戦略的”な経済協定だけではない。安保理の常任理事国であるロシアは、この訪問によって、キプロス協議が微妙な段階にある中で、彼らに大きな精神的支援を与えたのである。南キプロスの報道を見れば、それが解るだろう。

この展開は、トルコが西欧を諦めてロシアとの関係を深めるように主張している者たちを失望させたに違いない。しかし、ロシアはここでも先ず始めに、国益を守ろうとしている。それに、ロシアと南キプロスの近しい関係は、以前から知られていたはずだ。

トルコは、経済的に大きくなり、外交政策を従来の軸から動かして、注目に値する新しい傾向を見せているが、世界のバランスにおける負の影響から、自分を隔離できる状態ではない。

このバランスが相互に絡み合っている世界で、ヨーロッパへ、「トルコに対する態度を決めてくれ」と言っても始まらないだろう。そもそも、そういった決定を下せる“一つにまとまったヨーロッパ”などないのである。

だから、エルドアンの少々ポピュリストらしい突出は、内側に一定の政治的な影響を与えるものでしかない。

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原文
http://www.milliyet.com.tr/devlerle-dans-dikkat-ister/semih-idiz/siyaset/yazardetay/11.10.2010/1299920/default.htm

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