【238】イランの問題でトルコが果たせる役割はもう残っていない【ミリエト紙】【2010.06.23】

6月23日付けのミリエト紙より、セミヒ・イディズ氏のコラムを訳してみました。

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ブラジルがイランの問題から後退したため、トルコはこの問題で一人取り残されてしまった。ブラジルのアモリン外相は、フィナンシャル・タイムズに寄せた談話で、要望があれば努力を続けるつもりだと語ったものの、あまり希望を持っていないことも明らかにしている。

アメリカの当局者も、ブラジルの発表に満足の意を表しながら、イラン制裁に安保理で“ノー”と言ったブラジルとトルコは、既に仲介者とはなり得ないとはっきり言い渡している。

どうやら、安保理でトルコと共に孤立したことは、ブラジルにとって重荷になったようだ。今は、後退しながら再び“中立的な立場”に戻ろうとしている。

これは疑いもなく、アメリカとの関係をより悪化させないための動きである。様々な理由でアメリカ政府に不快感を持っていたとしても、ブラジルには、アメリカとの友好を保ちたい具体的な経済上の理由があるからだ。では、何故、ブラジルは、当初、あの役割を請け負ったのだろうか?

イランから何千キロも離れていながら、安保理の非常任理事国として、外交上の成功を手にしたかったに違いない。そして、先月、イラン政府と合意した協定によって、それを成し遂げたと思ったはずだ。

しかし、結局は、これが思ったよりもっと錯綜した問題であることを認識した。ロシアと中国も制裁決議を支持した為、これは単にアメリカだけを軸にした問題ではないと理解したのである。いくつかの数字を以下にあげるが、これでブラジルの立場が、もっとはっきり見えるだろう。

ブラジルとアメリカの間には、現在、640億ドルの商取引がある。トルコとアメリカでは、アメリカの資料によると、2008年で150億ドルぐらいである。アメリカのトルコからの輸入は、総額47億ドルで、ブラジルの場合、これが305億ドルぐらいになる。

一方、アメリカのブラジルへの直接投資は、2007年の数字で、400億ドル以上だった。これがトルコでは、50億ドルのレベルに過ぎない。

これらの数字から解るように、ブラジルが安保理の制裁決議に反する態度を取れる支払余力はそれほどない。さらにアメリカとの対立が深まれば、国益を損ない始めるだろう。

経済的に急成長しているブラジルは、アメリカの市場とアメリカからの投資を必要としている。通常、国家は、先ず自分たちの国益を守ろうとするから、ブラジルがイランの件を天秤にかけた結果、「私はもうこれに関わらない」と言明するのは、当然と見なければならない。

トルコ政府の立場は、これと異なる。トルコは何よりも前に、イランと同じ地域の国だからだ。その一挙手一投足がこの地域に波紋を起こしてしまう。この為、トルコはイランの問題から、ブラジルほど簡単に手を引くことはできない。

トルコ政府が、イランに対する制裁決議で“ノー”と言ったのは、当初より進めてきた対イラン外交の必然的な結果である。要するに、AKP政権は、今のところ、イランの“弁護士”を続ける以外に選択肢を持っていない。

民主主義や人権といった問題で、イランに何も言おうとしないのは、これを認めているからだろう。実際のところ、それでもトルコは“仲介者”としての説得力を維持できるはずだった。

しかし、その為には、イランに対して圧力をかけなければならなかっただろう。例えば、テヘランでウラニウム国外移送の協定に合意した直後の談話で、イラン原子力庁長官アリ・アクバル・サレヒは、この協定にも拘わらず、ウラニウムの濃縮を進めて行くと明らかにしている。この時、トルコ政府は即座に対応して、合意した協定の意義に背くこの発言は認められないと強調すべきだった。

ところが、トルコ政府は、先ず何より、自分たちの外交努力の土台を崩してしまうこの発言に対して、何の反発も見せなかったのである。

“仲介”にとって不可欠な“中立性”を失ってしまったトルコに、イランの問題では“弁護士”の役以外に何も残っていない。イラン政府が、この現実によって立場を変え、国際社会で他の支持者を探し始めたとしても、驚くにはあたらないだろう。

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原文
http://www.milliyet.com.tr/iran-konusunda-turkiye-ye-bir-rol-kalmadi/semih-idiz/siyaset/yazardetay/23.06.2010/1254264/default.htm

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