【235】中東か? 西欧か?【ミリエト紙】【2010.06.14】

昨日に続き、6月12日付けのミリエト紙より、タハ・アクヨル氏のコラムを訳してみました。

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トルコは西欧から離れて東へシフトしているのだろうか? 先日、イスタンブールでトルコ・アラブ首脳会議が開催された。ダウトオール外相は、シリア、レバノン、ヨルダンとの間に“高位級協力委員会”が作られると発表した。この4ヵ国の間はノービザとなり、自由な商取引が始まると言う。

ミリエト紙の昨日の経済欄には、アラブ諸国と貿易銀行の開設、この地域へトルコの銀行が進出、テレコム社がシリア、ヨルダン、サウジアラビアと契約、シリアと共同で銀行の開設、レバノンがトルコ資本を誘致、といったニュースが出ている。つまり、中身のない話ではないということだ。

ダウトオールの“カルスからモロッコへ、シノップからスーダンへ、イスタンブールからアデンへ”というビジョンは、かなり長期的である。

こういった展開は、西欧からの離脱を示しているのだろうか?

既に、西欧覇権の世界は過去のものになりつつある。ポール・ケネディは20年前に“大国の興亡”でこれを明らかにしている。1900年には、世界の工業生産の85%をアメリカと欧州が担っていた。この数字は、産業とそれに関連する科学、技術、組織力で力を得た西欧による植民地主義と帝国主義の結果と言える。

ケネディの著書では、1980年に世界の工業生産における西欧の割合が44%に下がったことが明らかにされていた。

その続きを私が記そう。IMFの推計によれば、2030年、アメリカとEUの世界経済に占めるパイは31%に落ち、2050年には、中国の総生産がアメリカを抜くという。トルコのような新興国の総生産も欧州を抜き去るだろう。

ここで、21世紀の特質を示す2冊の本について記したいと思う。一つはシンガポールのキショール・マブバニが著した“「アジア半球」が世界を動かす”。もう一つは、アメリカのファリード・ザカリアによる“アメリカ後の世界”である。

マブバニは、既に西欧が単独で世界を導くことは不可能になり、これをアジアと分かち合わなければならないと説明しているが、決して挑発的な言葉は使っていない。それどころか、アジアの勃興において、西欧から得た科学、テクノロジー、プラグマティズムの重要性を強調している。

ザカリアもアメリカが“勃興するアジア”の現実を認知し、協力し合うよう勧めている。そして、アメリカは、科学、テクノロジー、生産性、組織力の分野で、この先も長きに亘り指導的な立場を維持するだろうと言うのである。実際、アメリカ以外の何処にハーバード大学があるだろうか?

世界が多極化する21世紀で、トルコも様々な地域へ、特に中東へ展開して協力関係を築くことは、異常どころか必要でさえある。

しかし、トルコと西欧の関係にも重要な国益が掛かっている。経済、政治、そして国防の分野においてだ。

東へ展開するために西欧から離れたり、ましてや衝突する必要など全くない。大きなアジアとアメリカが衝突せずに協力し合うのなら、何故、トルコは東西の衝突へ引きずり込まれなければならないのか?

首相が、西欧との関係について語る時、怒ったり挑発的な言葉を使ったりせず、ザカリアやマブバニのような“理解し合える”言葉を使うならば、外交において、より国益に適うだろう。また、トルコが西欧から離れることを期待する者たちの熱意も水泡へ帰するに違いない。

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原文
http://www.milliyet.com.tr/dogu-mu-bati-mi-/taha-akyol/siyaset/yazardetayarsiv/14.06.2010/1249936/default.htm

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