【230】本当の戦い【ラディカル紙】【2010.06.02】

6月2日付けのラディカル紙より、ハールク・シャーヒン氏の記事を訳して見ました。ガザへ向かっていた救援物資輸送船が、イスラエル軍の攻撃を受け、死傷者を出して制圧された事件を論じています。

****

現代的な光景の一つは、証券取引と情報の流れが24時間止まらないことである。グローバル化した世界の動脈から一日中、滔々とメール・インフォメーションやニュースが流れ続けている。この二つは、もちろん相互に無関係ではない。

このような世界で、重大な事件が起こる度に、以下のような疑問が囁かれる。「メディアの足元では何が起きているのか? PR合戦は何処が勝利したのか? 何処の意図するイメージが描かれたのか?」。

イスラエル軍が地中海で起こした事件の後、イスラエルのメディアを始めとする全ての情報世界が一致した点は、イスラエルがこの件において敗北したということだ。“スキャンダル”“惨劇”といった言葉が飛び交っている。

客観的に見て、実際、状況はそのように考えられる。ガザへの救援物資輸送は、何よりも情報戦と言えるものだった。その目的は、世界の目をガザの困窮に向けることだったのである。輸送船が封鎖を破り、救援物資がガザの人々に到達することなど誰も期待していなかった。期待されたのは、イスラエルが示すだろう反発に対して、政治的な圧力を形成することである。

イスラエル政府はその行為により、相手側の思う壺に嵌ってしまった。

相手側の名は、ハマスと言っても良いし、トルコ、あるいはパレスチナ、平和運動家としてもよいだろう。

イスラエルは、輸送船がイスラエルの領海に入った後、哨戒艇を出動させて最寄の港湾に誘導し、輸送船内の活動家たちを数日もてなしてから送還しておけば、状況は非常に変わったものになったかもしれない。

しかし、現在、政権に就いている偏狭なメンバーは、何でも自分たちが最善手を知っていると思い込んでいたようだ。武器を持たない輸送船に対し、公海上でコマンド部隊による作戦を敢行してしまったのである。そして、本当の戦いに敗北した。

24時間、インフォメーションとニュースが行き交うグローバルな世界で、本当の戦いは、人々の頭と心に向けられるものだ。

イスラエルの首脳陣は、関係する全ての事件に、世界の世論で5点のアドバンスからゲームを始められないことを理解したくなかった為、結果はこうなってしまった。

私は、先日、イギリスを離れる前、『5点のアドバンスじゃなくても、2点のアドバンスで始まる』と思った。イスラエルからのニュースを、マードックのスカイニュースは、“船でパレスチナを支援している武装集団が殺された”と伝えていたのである。

西欧の人々の脳裏に刻み込まれているイメージで、“パレスチナを支援している武装集団”は“テロリスト”と同じ意味になってしまう。だから、ニュースには、暗に彼らが当然の報いを受けて死んだというメッセージも含まれていた。彼らを“平和活動家”“支援のボランティア”と言うことも出来たのに、BBCですらこういう言葉を使わなかった。

つまり、あの朝、イギリスのメディアを見ながら、イスラエルのメディアにおけるアドバンスは大分減ったが、未だ続いていると思ったのである。

しかし、全てを正当化できるほど大きくはない。世界の方々で高まっている反発がそれを示している。リベルマンやアヤロンのような人物とその思考法でこのまま進めば、2点のアドバンスも風前の灯だろう。

****

原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=RadikalYazarYazisi&ArticleID=1000167&Yazar=HALUK ?AH?N&Date=02.06.2010&CategoryID=97

▲トップページ
▲前の記事
▲次の記事
▲トルコの新聞記事INDEX