【229】トルコは再びアメリカから恫喝されるのか?【ミリエト紙】【2010.05.29】

5月29日付けのミリエト紙より、セミヒ・イディズ氏のコラムを訳してみました。

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ブラジルにおけるエルドアン首相の発言は、“イランとの賭博”の坩堝を5倍ほどふくらましてしまった。

「何処が発言しているのかと思って見渡してみれば、発言している全ての国が核兵器を持っている」という発言がそれである。

ここでは、半世紀に及ぶ、トルコもその中に含まれている核防衛政策について、エルドアンがどのくらい知っているのかは論じないことにする。しかし、トルコの対イラン外交が、トルコとアメリカの関係において、非常にリスクの高いゲームと成ってしまったのは間違いない。

オバマ大統領が誕生した際、「トルコとアメリカの関係は最も良い時代を迎えるだろう」と予想したダウトオール外相が、ブラジルから慌ててワシントンへ向かったのも、この状況で“損害を最小限にする”努力と見ることができる。

何故なら、昨日までトルコを支持していたニューヨーク・タイムスのトーマス・フリードマンといった重要なジャーナリストからも、既に反トルコの毒々しい記事が出ているからだ。つまり、この問題はトルコにとって、“イスラエルは核兵器を持っているのに、なんでイランに反対するのか”という議論を越えてしまったのである。

国連の常任理事国、アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスの全てを、トルコ政府は標的にしてしまった。この場合、「トルコは新たな“ジョンソンの手紙”事件を迎えなければならないのか?」という疑念がわいて来る。(訳注:“ジョンソンの手紙”−1964年、時のジョンソン米大統領が、トルコのキプロス介入を思い止まらせようとしてイノニュ首相へ出した恫喝的な内容の手紙)

この疑念を議題にのせようとしているのも我々ではない。“ジョンソンの手紙”について知らない西欧のある高位外交官が次のように語ったのである。

「イランの核兵器保有を楽にしてしまったトルコには、将来、異なる政治状況の中でイランから脅威を受けた場合、NATOの同盟国に支援を求める権利があるだろうか?」

これは、もちろん“扇動的”であり、その全てが仮定によるものだ。しかし、今後、イランの問題に関して、トルコ政府へ向けられる西欧の反応が、どの方向に流れるのかを示している。そして、トルコは既に特定のポジションについてしまった。後戻りすれば、重大な威信の喪失を招くだろう。

この状況で、トルコ政府には何が出来るのか? 大きく主張してしまったのだから、トルコは、核兵器に関して迅速に明確な政策を打ち出し、これを最後まで遂行しなければならないと私たちは思う。つまり、トルコ政府は、アメリカがトルコ領内に配備している戦略核ミサイルも含めて、世界中の核兵器を無くすために献身しなければならない。

これを単独で行う必要はない。ブラジルとは、ここでも連携出来るだろう。これは影響力を高める。何故なら、ブラジルには、核兵器に関する明確なポジションがあるからだ。1970年代の軍事政権下で秘密裏に核兵器計画を進めた末、1985年の民政移管に伴って、この計画を放棄したのである。

ここで、例えば、カザフスタンもこのグループに招待できるだろう。この問題に関しては、カザフスタンにも独自の立場がある。カザフスタンは、独立を達成した後、ソビエト時代から残された核ミサイルを撤去すると同時に、領内での核実験を禁止した。

カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領は、ワシントンの核安全首脳会議で、核兵器排除に関して強力なメッセージを伝えている。トルコとブラジルが、カザフスタンのような国々とも連帯できれば、核兵器の排除に向けて、世界へ大きな風を吹かせることができるだろう。

しかし、これに説得力を持たせるため、トルコにはやらなければならないことがある。政治的、そして道徳的な拘束力のある宣言により、如何なる時も核兵器を持とうとしないこと、領内に核兵器を配備させないことを約束しなければならない。

これはトルコにとって、西欧の同盟国から離れ、独自の防衛戦略を発展させるという意味になる。政府は、配下の防衛戦略専門家たちや参謀本部から寄せられる抗議にも対処しなければならない。

しかし、エルドアン首相は、国連の常任理事国も標的にしてしまったのだから、AKP政権は、自分たちにこれを成し遂げる力があると思っているのだろう。

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原文
http://www.milliyet.com.tr/turkiye-yi-yeni-bir-johnson-mektubu-mu-bekliyor-/semih-idiz/siyaset/yazardetay/29.05.2010/1244046/default.htm

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