【226】中国の耐えられない重さ【ミリエト紙】【2010.01.11】

1月11日付けのミリエト紙より、セミヒ・イディズ氏のコラムを訳しました。トルコと中国の関係が論じられています。

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先週、ザフェル・チャーラヤン国務相は、中国の陳徳銘商務部長の訪問を受けた。中国の世界経済における位置を考えた場合、これは軽く扱える訪問ではない。両国の関係について熱いメッセージが交わされ、アンカラと北京の間に、まるで友愛の風が吹き抜けたかのようだった。

新聞の報道によれば、チャーラヤンは、中国への輸出を増やすために、中国の1〜2兆ドルに及ぶ輸入品目について、一つ一つ分析したことを明らかにしながら、次のように語った。

「問題は、我々が中国を良く解っていなかった点にあると思う。中国も我々について良く解っていない。我々は自分たちを巧く中国に紹介していなかった。今こそ、お互いに良く知り合い、お互いを巧く紹介しなければならない時だ。トルコはこの巨大な国へ1千億ドルの輸出が可能である、私はそう信じている」

チャーラヤンは、中国の企業がトルコに投資して、通商や産業区域を実現させる件について、陳徳銘と合意したことも明らかにしている。さらに、ユーモアをこめて「私が中国の企業家であれば、とっくにトルコへ投資していましたよ。貴方たちが何を待っているのか解りませんねえ」と批判したそうである。

何もかも素晴らしい話だが、ここに一つ引っ掛かるものはないだろうか? こんなに早く忘れてもらっては困るが、今から僅か6ヵ月前、中国の新疆ウイグル自治区で起こった事件に関連して、中国に対するボイコットを呼びかけたのは、他でもないザフェル・チャーラヤンではなかったのか?

そればかりか、エルドアン首相も、中国がウイグルに対して“まるでジェノサイドを行っている”と言わなかっただろうか? そして、これを安保理に訴えるつもりだと言い添えなかっただろうか?

当時、私たちは、「現実的に考え、大局を見るように」と言って、エルドアンとチャーラヤンを批判した為に、AKP政権の支持者や民族主義者たちから、数多の侮辱的な発言を受けなかっただろうか? さて、何が起こったのだろう?

新疆ウイグル自治区に平穏が訪れたから、今、中国に再び接近しているのか? さもなければ、「問題は、我々が中国を良く解っていなかった点にあると思う」と語ったチャーラヤンも、世界の現実が良く解ってきたということなのか?

ウイグル人の状況には何の変化もない。近い将来、変わりそうな様子もない。変わったのは、昨夏に緊張していたアンカラと北京が、再び温かい関係に戻ったということだけである。

これに関連して、もう一つ思い出してもらいたい。“ウイグルの母”として知られるラビア・カディルは、トルコの世論でも人気を博していたのに、どういうわけかトルコを訪れることができなかった。

政府は「望めば、いつでも来れます」と明らかにしていたし、トルコは彼女が先ず始めに訪れなければならない国だったにも拘わらず、彼女はトルコへ足を踏み入れることができなかったのである。現在、彼女は、実際的な支援を受けているアメリカで活動を続けている。

ここで次のような疑問が頭をかすめる。AKP政権は、カディルに対して、公に「来れます」と言いながら、裏で「今は来ないでもらいたい。中国と問題になる」と示唆していたのか?

何と言っても、カディルは愛すべきお母さんのような印象に反して、中国では“分離主義テロリストの頭領”と見られているのだ。

後は読者の判断に任せるが、確実なことが一つある。政府は、政治的・経済的な観点から世界において、少なくともアメリカほどの影響力がある中国の耐えられない重さに突き当たってしまった。街頭に繰り出していた反中国のデモも無くなった。中国を「残虐」であるとか「まるでジェノサイドを行っている」と言って非難していたにも拘わらず、先週、陳徳銘商務部長の来訪で見られたように、今や友好的な関係で将来を見ているのである。

世界を何でも白黒で見ようとする人たちの為に、これがパワー・ポリティックスの授業になったことは間違いない。結局、アンカラは北京のような経済的・政治的パワーと敵対しようとしなかった。

AKP政権は、最終的に、敵対がもたらす外交的、そしてもっと重要な経済的損害を計算した。また、中国が常任理事国となっている安保理にウイグル問題を訴えたりはしなかった。

こうして、「裁判官が地獄で集まったら、悪魔を訴えることはできない」というアイルランドの諺が如何に正しいか、私たちは再び確認したのである。

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原文
http://www.milliyet.com.tr/Yazar.aspx?aType=YazarDetay&ArticleID=1184451&AuthorID=76&Date=11.01.2010&b=Cinin dayanilmaz agirligi&a=Semih Idiz&ver=42


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