【221】トルコは中東へ向かっているのか?【ラディカル紙】【2009.11.02】

11月1日付けのラディカル紙より、テュルケル・アルカン氏のコラムを訳して見ました。

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ジェンギス・チャンダルが「首相はやり方を変えた」と言わなければ、おそらく誰もこれほど不安にならなかっただろう。しかし、イスラエルの大統領を「ちょっと待った!」と制しながら、「イスラエルを地図から消す」と言うイランの核兵器入手に見て見ぬふりをするエルドアン首相の態度、そしてトルコが隣接する国々と“ゼロ問題外交”の枠組みで関係を強化している事実は、「トルコがヨーロッパから離れて中東へ回帰する」といった疑念を呼び起こしている。ラディカル紙が昨日、エコノミスト誌から引用した記事には、「トルコが中東を侵略している」と記されていた。

もちろん、トルコは何処も占領していない。中東諸国、バルカン半島やコーカサスの国々、ロシア、そしてウクライナと良好な関係を発展させようとしているだけである。これを見れば、トルコの外交が一方的に“イスラムへ傾いた”と決め付けるのは間違っているはずだ。

このトルコの外交展開を、“中東への回帰”もしくは“イスラム化”と看做すのは、冷戦時代の習慣から来ているように思われる。世界が、西と東と第三世界に区分けされていた頃は、一方の損失がもう一方の利益になっていた。

今は時代が変わった。グローバリズムの時代である。トルコが隣国や地域の国々と良い関係を築くのは、EUにとっても、米国にとっても悪いニュースではない。中東における強く影響力のあるトルコは、長期的に見れば、EUにとって利益となるだろう。ましてや、トルコがEUに加盟するのなら・・・。

“トルコの中東への回帰”という言説が“トルコのイスラム化”を意味しているならば、こういった変化の為には、外交展開に先立って、内政や憲法、そして国家の基本的な性質を新たに整えることが必要になる。

首相や大統領を始め、政権党AKPに属する多くの人々が、国家のイスラム化を望む潮流からやって来たことは間違いない。「我々は変わった。既に政教分離を受け入れた」と言ったところで、実際、どれほど変わったのか私たちには解らない。彼ら自身がどのくらい解っているのか、それすら疑わしい。

この疑念、躊躇いの見事な生々しい例を、29日の建国記念日に、大統領が催した式典で起きた小さいながら意味深なハプニングに見ることができる。

ハイルニサ大統領夫人(訳注:スカーフを被られています)が、招待客の一人へ握手の為に手を差し伸べたところ、その招待客がどうあっても手は握れないという態度に出たため、ハイルニサ夫人の手は宙に浮いてしまった。

思うに、宙に浮いたのは、ハイルニサ夫人の手ではなく、この政権の信頼性だろう。政権の信頼性が揺らいでいる最大の理由は、何故、思想を変えたのか、これを説明する努力を怠っている所にある。

AKPが外交政策を変えた理由は色々あるに違いない。しかし、その“信心深い傾向”が、ある程度、変化を後押ししたとしても、おそらく最も重要な要素ではないだろう。

トルコが、この7年間で、北アフリカや中東の国々に向けて実現した輸出は7倍に増えている。これは、左派の人たちも成功と看做して支援する展開じゃないかと思う。

AKPが、外交政策を問題なく進めているとは言いたくない。EUとの関係は、充分な速度で進展していない。アラブを喜ばせるためにイスラエルを、アルメニアを喜ばせるためにアゼルバイジャンを傷つけたのは、本当に避けられないことだったのだろうか? この展開をもっと入念に準備して、もっときめ細かく進めることは出来なかったのだろうか?

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=RadikalYazarYazisi&ArticleID=962109&Yazar=TURKER ALKAN&Date=02.11.2009&CategoryID=99


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