【204】AKPにおける人事は何を意味しているのか?【ラディカル紙】【2008.11.10】

11月9日付けのラディカル紙よりハールク・シャーヒン氏のコラム。AKP副党首フラット氏が突然辞職した背景に窺えるAKPの方針転換について論じています。

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AKP(公正発展党)の副党首であるデンギル・ミル・フラットの辞職(あるいは免職)は、トルコが国内の政治劇において新たな舞台へ移ったことを示している。

この劇がターゲットとしている観衆は、地方選挙で投票する選挙民たちである。AKPの執行部は、2007年7月22日の総選挙で47%の票を得たことにより、充分に前途が開けたと判断し、これに基づいた展開を開始した。

しかし、憲法裁判所がスカーフ問題とAKPの解党訴訟に示した判決は、消えかかっていると思われていた赤い警告ラインを鮮明にさせ、AKPの政治的な戦略範囲は狭まったのである。

サッカーの試合に例えるならば、ロングパスでゴールを目指す代わりに、ショートパスでボールを支配し、相手が疲労するのを待つ作戦に転じざるを得なくなった。

何はともあれ、地方選挙が近づいている。AKPは当然のことながら、アンカラやイスタンブールのような大都市を失いたくないし、出来ればこれにイズミルを加えたいと思っているだろう。

トルコのイスラム主義政治は、1990年代に地方行政区の成功によって台頭した。地方行政区における利権は、新興の保守的な富裕層が形成される際、主要な役割を果たした。彼らがこれを手放すつもりはないだろう。では、どうするのか? この為、時間が残っている内に方針の調整を行なっているのである。

エルドアン首相は、票を失う可能性が高い不明瞭なエリアから速やかに遠ざかり、リベラルな支持者たちを大いに驚かせている。

例えば、クルド問題において、段々と民族主義的なポジションに立場を変えて来ているのも、こういった関係から読み取ることが必要だろう。もちろん、ディヤルバクル県をDTP(訳注:クルド系の政党)から奪い取ることも重要だ。しかし、イスタンブール、アンカラ、イズミル、カイセリを、そして民族主義的なヒンターランドを失ってしまうほど重要なことではない。

エルドアンは、民族主義の票が未だ非常に重要なファクターであることを理解している。2007年に見せたように、この旗印も他者に渡すつもりはないのである。

デンギル・フラットの辞職(免職)では、ケマル・クルチダルオウルとの不正論争で評判を落としたことが一つの要因になっているかもしれないが、要因はこれだけではないだろう。フラットの代わりに、やはりクルド人ではあるが、趣きの異なるアブドゥルカディル・アクスが起用されたことは、実に意味深い。

このところ、CHP(共和人民党)はAKPに対して、政教分離ではなく不正の問題に的を絞り始めている。多くの選挙民にとって、政教分離(宗教)の問題は、AKPが纏った鋼鉄の鎧だった。しかし、不正に関しては弱点のあることが明らかだ。地方行政区の長の候補を目指す党内のレースが激化すれば、色々なファイルが行き交うことになる。影響が徐々に感じられ始めている巨大な経済危機は、経済的な不満足感を高め、社会を不正に関して一層敏感なものにさせるだろう。

AKPの指導者エルドアンが、こういった新しい条件を前にして、より民族主義的でポピュリストな前線に移りながら、特に欧州へ向けて「我々は変節したわけじゃない」というメッセージを伝えて懐柔する役割は、大統領のアブドゥルラー・ギュルに預けられたようである。ギュルとエルドアンの発言に違いが目立ってきたのは、このように捉えるべきではないかと思う。

興味深い冬が訪れようとしている。

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=YazarYazisi&ArticleID=907458&Yazar=HALUK%20?AH?N&Date=10.11.2008&CategoryID=98

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