【199】シェケル・バイラム(砂糖祭)【ラディカル紙】【2008.09.26】

9月25日付けのラディカル紙より、ヌライ・メルト氏(女性)のコラム。メルト氏は、砂糖祭をラマダン祭と言うべきとする趣旨の発言をしたエルドアン首相を批判しながら、社会の両極化に警笛を鳴らしています。

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家族をはじめとする社会的な環境もあって、大学を卒業するまで、イスラム主義者どころか右派の保守層とも全くと言って良いほど接触することはなかった。ところが、現在、朋友の多くは、保守的な、あるいは過去に保守的だった人たちであり、親しい女友達の殆どはスカーフを被っている。

これは朋友との交流についての話で、社会的な関心であるとか、対話への努力といったものではない。普通に気が合っているだけのことである。

この朋友たちと、お互いの育ち方や育てられた文化的環境の違いを比較するのは楽しい。各々が育った社会の各層が、それぞれを認めることもなく、お互いに先入観を懐き、憤激をもって接しているといった問題を、和やかに論じ合う。時折、政治的なテーマで喧嘩になったりするけれど、なんとかいつも友情が優先されて終る。

『人々が手に手を取り合って祝福し合う』などというロマンティックな感覚に陥ったことは未だかつてないが、トルコにおける激しい文化的な衝突を和らげる為に、その基盤がもたらされることは重要であると考えている。しかし、政治的、社会的な対話を求めて、うわべだけの友情を勧めているわけでは決してない。これは自然な経緯を辿ってこそ意味がある。つまり、人々が、自分の生まれ育ったゲットーに息苦しくなり、他の層に興味を懐き、そして異なる環境の中に気が合う人を見出せれば可能となる。

誤解しないでもらいたいが、もちろん、皆が必ずしも異なる環境に興味を懐いてこういった出会いを実現しなければならないと言うのではない。これを余り大袈裟にすると、うわべだけの交友に至ってしまう。

以上の事柄をまたしても考えて見なければならなくなった要因は、シャンルウルファ県党本部でイフタルの食事に参席した首相の発言にある。

首相は祝祭(バイラム)について話した。「祝祭の名称が変えられてしまった。何になったのか? 祝祭の名は休暇・・・名を他のものに変えてしまった。今は“砂糖祭(シェケル・バイラム)”と言うが、この祝祭は間違いなくラマダン祭である。これは文化の侵食というものだ。これに機会を与えてはならない。有るべき姿が何であるかによって、それを同じ形で活かさなければならない・・」と語ったのである。

最初に朋友との交流の話を持ち出したのはこの為だ。イスラム的な環境に育った友人たちと、砂糖祭/ラマダン祭の区別を何度も話題にし、冗談を言い合った。これは首相が思っているような真新しいものではない。私は48歳になるが、異なる環境の人たちと知り合うまで、この祝祭をずっと砂糖祭であると思っていた。

保守層が砂糖祭を、塩気のないイスラムと捉えているのは理解できる。そういった態度を沢山見てきた。そして、それだけであれば全く不快なものではない。しかし、砂糖祭と名付けたことを“破壊”とみなし、祝祭をそうやって祝う者たちは“粗野”であると規定する首相を恐ろしいと思うようになった。

世俗派の中で宗教と言えば直ぐにいきり立つ人たち、宗教的な保守派の中で信心深くない者を“粗野”とみなす人たち、そのいずれにも不快なものを感じてきた。異なるテーマにおける政治的な対立はさておき、社会的な安寧は、この両極と距離を置いたエリアを築くことによって成り立つと考えている。私は、自分の朋友との間でそういったエリアを築けることが分かったし、それが広がって行くように希望していた。ところが、ここに至ってその希望を失い始めている。

政治的な対立が文化的な衝突に至るのは、多くの場合、避け難い。しかし、この件に関しては、慎重に責任を持って双方に理解を示す必要があるのではないか? そして、これは首相に期待されているものではなかったのか?

「これに機会を与えてはならない」とは何という言い草だろう? 祝祭をラマダンではなく砂糖と言って祝うような罪のないことへ機会を与えるとか与えないとか言い出すのは、いったいどういうことなのか? 直ぐにお答えしよう。私のような、こういう事柄を良く見て来た者にとっても、これは恐ろしいことである。

私は、首相がある人たちを脅かす為に、あるいは傷つけることを承知で発言したとは全く思っていない。政治評論家として、首相についてそのぐらいは知っているつもりだ。但し、この発言が何処に至るのか気付いていないこと、そしてトルコという国を充分に理解していないことは重大である。

首相は、イスタンブール市長時代、カスムパシャ区の出身である為、酒場の人々のことも良く知っていると語っていた。問題はここにあるかもしれない。物事が敬虔な国民と酒場の常連によって成り立っているわけではないからだ。

トルコとその政権党が、さらに傷つく前に、可能ならば誰かが首相にこれを詳しく説明してあげなければならない。

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=YazarYazisi&ArticleID=900286&Yazar=NURAY%20MERT&Date=26.09.2008&CategoryID=98

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