【198】何が起こっているのか?【ラディカル紙】【2008.09.12】

9月10日付けのラディカル紙より、ハールク・シャーヒン氏のコラム。ドイツで告訴されたことにより明るみに出たデニズ・フェネリ協会という組織の不正事件に端を発し、ラディカル紙も含まれているドアン・メディア・グループがエルドアン首相から非難されている問題を背景に、シャーヒン氏はトルコにおけるイデオロギー的な覇権争いについて論じています。

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現在の展開は次のようなものだ。トルコにおける政治闘争をもう一段階高める為、我国で最も強力なメディア・グループに真っ向から襲い掛かっているのである。このグループが困難な状況に陥る、もしくは消滅してしまえば、イデオロギー的な覇権への道で近年手にした成功に最も大きな勝利を加え、その目標へ一層近づくことになる。

トルコにおける政治闘争はイデオロギー的な覇権争いであると以前から申し上げている。イデオロギー的な覇権とは、世の中の出来事に自分たちの定義を押し付けてしまう力というように要約できるだろう。

その視点は正常で自然なものだから、正しいと認められてしまう優越性である。何か新しい展開があれば、自動的にその枠組の中で、議論の余地なく認められてしまう。

今、この覇権への道は、イデオロギーを作り出す機構において、優越性を手に入れようとしている。その機構とは、家族、学校、モスク、一種の教育機関でもある軍部、そしてメディアである。

こうして見ると、そういった機構の一つ一つがイデオロギー闘争の戦場になっていると言えるだろう。コーラン教室、高等教育委員長の任命、宗教教育、士官学校への受け入れの是非、といった余り関係がないように思える多くの出来事が同じ構図の中に見えてくるのである。

そして、もちろんメディア・・・。トルコ共和国における実証主義−政教分離主義−西欧主義の覇権に不服があり、これを自分たちの目標にとって障害であると考えている教団−宗教主義者−ポストモダン派のラインは、90年代の中頃、特に“2月28日軍事介入”以降、メディアにおいて優越性を確保することが必須の条件であると認識した。

彼らは、これを自分たちの前近代的な言説では成し得ないことが解っていたから、リベラル−民主主義、あるいは第二共和制主義者と呼ばれる人々と協同し、多くの利益を得たのである。

リベラル−民主主義を名乗る人たちは、彼らの前近代的な言説を現代的な民主主義と人権の用語に翻訳した。こうして彼らを国際的に認知させた。

古い覇権的な体質が濃厚な機関に対して、最も強力な攻撃を加えながら、砦の一角に穴を開けたのは、あの人たちがもたらしたもう一つのサービスだったに違いない。これは一部の人々から喝采を持って迎えられた。(“あちら側の人たち”という書物で、私はこれを“ビバ・カピターノ・シンドローム”と名付けた)

この間、かつての覇権を代表する人々は何をしていたのだろうか? 思考方式が変って行く世界の条件に合わせて、現代的な論説を発展させ、将来の新しい前線へ移行する代わりに、うずくまって世界に文句を言いながら、舞台を彼らに明け渡した。さらに、敗北を重ねる度に、もっと擁護の余地がない場所へ後退してしまう。この過剰防御的な発想は、民間や軍部の中に毎日その例を見ることができる。

イデオロギー的な覇権を手に入れなければ、さらに前へ進めないことを理解した彼らは(エルドアン首相もその一人である)、当然、二つの目標に執着している。

1)反対する陣営を、機会ある毎に、あらゆる手段を使って弱体化させ、社会の中にその陣営に対する疑念、さらには敵意を芽生えさせる。

2)逸早く自分たちのメディアを創って発展させる。

ドイツで暮らしている信仰心は篤いが蒙昧な同胞から集められた300〜350億ユーロ(ドイツの議員ハック・ケスキンによれば)の金の一部はこの目的に向けられた。

デニズ・フェネリのスキャンダルもこれに沿ったものである。トルコでは正しくローラー作戦が展開されているようだ。

時として、言うことを聞かないメディア機関に視察員を送り込み、時として、番組の最中に電話をかけ、時として、何事か仄めかし、時として、褒賞を与えながら・・・。

そうはならないことを望んでいるが、もしも、彼らがこれに成功し、あらゆる野党勢力の声が制限され、批判する者たちの影響力がなくなって、イデオロギー的な覇権を手に入れたら、次に彼らはどんな一歩を踏み出すのだろう? 次の目標は何であるのか?

この質問を発するのが私ではないことを願いたい。

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=YazarYazisi&ArticleID=897934&Yazar=%20&Date=12.09.2008&PAGE=
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