【197】酒は悪事の母である【ラディカル紙】【2008.08.23】

8月22日付けのラディカル紙より、オラル・チャルシュラル氏のコラム。チャルシュラル氏は、アンカラ市のケチオレン区が、区の入口に「酒は悪事の母である」と記されたパネルを掲げたことについて論じています。

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アンカラ市ケチオレン区のトゥルグト・アルトゥノク区長は、区の入口に聖ムハンマドの言葉とされる次のハディースを掲げた。

「酒は悪事の母である」

何故、父ではなくて母なのか、とても気になるところだ。酒を飲む者の多くは男であるのに、女性を例として上げるのは妙ではないだろうか? 「悪事が到来するならば、それは女からだ」とでも考えているのだろうか?

一部のイスラム主義者たちが聖ムハンマドのハディースとして好んで取り上げるこの言葉を、実際の状況に応じて議論するのが良いと思う。まず、議論へ入る前に、ケチオレン区で酒類の販売店や酒を飲んでいる人々を標的にしたやり方を明らかにしたい。

ケチオレン区長トゥルグトさんは、飲酒が宗教上の罪になると考えているのかもしれない。本人は酒を飲まないのだろう。これには敬意を表する。彼に投票した人たちの多くも同様の信仰を持っているのだろう。これにも敬意を表する。

しかし、自分と同じように考えない、そして行動しない人々に敬意を表し、その人々が必要を満たせる環境を作ることは、地方行政区の長としてトゥルグトさんの職務であるはずだ。国民も各々の相違に敬意を表さなければならない。

トゥルグト・アルトゥノクは、イスラム法によって統治される国家の指導者ではない。コーランやハディースに従って行動しなさいという広報を掲げることは、彼の職務に含まれていない。信仰を持つ人々が、宗教の決まりを教わりたければ、彼らの訪れる機関は明らかだろう。宗務庁の区の分署、あるいは本庁である。区庁は宗務庁の分署ではない。ファトワ(イスラム教の裁断)を告げる機関では決してない。

トゥルグトさんがこの記事のような報道を読んだならば、「我々は誰かに干渉しようなんて思っていない」と弁護を試みるに違いない。しかし、区の入口に掲げた掲示板は、正しく干渉に他ならない。そもそも、職員たちは直ぐに命令を受けたようだ。

ケチオレン区の公安官たちは、酒類の販売店を営んでいたメティン・シャーヒンを激しく殴打したのではなかったか? メティン・シャーヒンの母親は、00.01時まで営業できる許可証を持っていたにも拘わらず、23.00時に店を強制的に閉めさせられたと証言している。

これは恐ろしい状況と言える。ケチオレン区に自邸を有するターイプ・エルドアン首相も、この問題に関心を示さなければならないだろう。自分の居住区で、一部の住民が抑圧されているという報告を深刻に受け止めなければならない。この問題に関してどのような態度を取るのか待たれるところである。

「酒は悪事の母である」という大きなパネルを掲げたトゥルグト・アルトゥノク区長には、もう一つ質問がある。酒が悪事の母であれば、禁酒法を最も厳しく適用しているイランやサウジアラビアのような国々は、悪事が最も少ない国でなければならないのではないか? 悪事の母が入れないのだから、そこでは誰も悪事を行なうチャンスがないように思える。

トゥルグト・アルトゥノクの信仰に従えば、最も大きな悪事は、酒を最も消費している北欧の国々で発生しなければならない。犯罪や不正、抑圧や暴力が最も多く行なわれているのは、この国々でなければならない。皆さんは、この仮定が正しいと思えるだろうか?

イスラム主義者のメフメット・シェヴキ・エイギは、この仮定を信じたが為に、指名手配されるとサウジアラビアに亡命した。ところが、暫くして、この国で暮らすのは可能でないと悟るや北欧の国々に移住した。本人がこれをとても正直に告白している。「アラビアでは暮らせなかった。ヨーロッパの国々では楽に暮らせる」と言うのだ。

トゥルグト・アルトゥノクのような人たちは、もちろんこの社会にいるだろう。そして、いつでも存在し続けるだろう。

問題は、このような行政の長が、ああいったことを行なう勇気を何処から得たのかという点にある。これを内務長官に伺いたい。その表明を待っている。

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=YazarYazisi&ArticleID=894934&Yazar=ORAL%20CALI?LAR&Date=23.08.2008&CategoryID=98

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