【194】道徳屋の復活【ラディカル紙】【2008.08.10】

8月9日付けのラディカル紙より、ハールク・シャーヒン氏のコラム。AKP(公正発展党)が青少年の道徳を守る為に作成した法案の問題点について論じています。

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中核で宗教主義的な考えが重きを成している“保守政党”として、AKP(公正発展党)が青少年の道徳を守る為の法律を作ろうとしたところで何も驚くにはあたらない。

特に“性に関する道徳”は、宗教主義―保守政党が最も深く関わっているテーマの一つである。一部のイスラム教国では、これが病的な状態になってしまう可能性が示されている。イランやサウジアラビアで起こっていることを御覧になって頂きたい。

これによって最も犠牲になっているのは女性だろう。

私を驚かせたのは、鳥肌が立つような条項に満ちたその法案を、もともとメディア学出身のアカデミシャンであるAKP党幹部エディベ・ソゼン女史が作成したことである。その条文に目を通すならば、誰もが『本気とは思えない。多分、アドバルーンを揚げて、その反応により、どのくらいが実現可能か見たいのだろう』と思うに違いない。

条文に見られる、ポルノ刊行物を購入した若者にはサインさせて国民番号を記録して置くこと、全ての学校に礼拝所を設けること、といったような戯言は、他のジャーナリストたちからも吟味されることになるだろう。

私は一人のメディアに従事する者として(そして、ソゼン女史がメディア学の専門家であることを踏まえて)、報道と表現の自由という視点に限り、この問題の危険性に言及したいと思う。

昨日、私たちの新聞が伝えたところによれば、法案には報道に関して次のような法令が含まれているそうだ。

「青少年の健全な精神と肉体の成長の為に、暴力と性を含む新聞と雑誌の発行を禁じる。法令に違反した発行機関には、6ヵ月間の売り上げ以上の罰金を科し、責任者を1年までの懲役とする。継続的に違反が見られた場合には、この発行機関の認可を取り消す」。

恐ろしいことではないだろうか? “性を含む”発行で6ヵ月間の売り上げ以上の罰金(つまり倒産)、編集長に1年の懲役! さらには、発行認可の取り消し!(新聞と雑誌の廃刊を意味しているのだろうか?)

教えてもらいたい、ある文章が“性を含む”というのは何処から始まるのだろう? 娘と男が手を握り合ったところだろうか? それともキスか、もっとその後なのか? 7秒毎に異性との関係を思い浮かべている若者にとって、人生に性を含まない何かがあるのだろうか? マスターベーションの害、あるいは益について論じた発行物は何を含んでいるのか、哲学なのか? これをどうするつもりなのか?

ソゼン女史の“健全な精神と肉体の成長”という定義に対して、最近、欧米では影響力を持つロビーのようになった“ゲイ”やリベラルが何と言うのか気になる。この条文には少々ファシズムが匂い過ぎていないだろうか? 

つまらない発行物を読んだ為に、“健全な精神と肉体の成長”を国家が望むレベルで達成できなかった者たちをどうしようと思っているのだろうか?

メディア学を教えてきた人がこのような法案を作成すること以前に、こんなものを考えられること自体が私には理解できない。表現の自由の拡大に努めることがメディアの倫理的な責務であると私は思う。何故なら、自由の範囲が広ければ広いほどメディアも良い仕事ができるからだ。

自由の範囲の広さは、歯医者が仕事をする為にはそれほど問題にならないかもしれない。しかし、報道出版の業務に携わって、世界がどのように報じられなければならないかを議論した者が、禁じることから何かを期待するのは、職業倫理の点から言って、重大な背信である。

もしも、この法案をAKPに多い野暮な保守主義の男性議員が作成していたら、全く驚く必要もなかった。

さて、ここで一つ気になっていることがある。AKPに反論しようとしない我らが教条的なリベラルたちは、この法案についていったい何を考えているのだろうか? 例えば、一時期、“性を含む”発行を手掛けていたエムレ・アキョズは何と言うのか?

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原文
http://www.radikal.com.tr/Default.aspx?aType=YazarYazisi&ArticleID=892612&Yazar=%20&VersionID=&Date=10.08.2008&PAGE=


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