【140】人格の分化【ザマン紙】【2006.03.27】

3月26日付けザマン紙の日曜版より、エティエン・マフチュプヤン氏のコラム。検察が捜査の手を軍に伸ばそうとして、結局尻切れトンボに終わってしまった事件について、マフチュプヤン氏は皮肉たっぷりに書いています。

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子供の時分から、私の家族は人格の分化をとても心配していた。近所の年上の子供たちが私のボールを取って墓へ投げ込んだ時、私が異常なまでに反発したことに親族の者たちは不安を感じたのである。その荒れ果てていた墓地をサッカー場代わりにして終日そこで遊んだあげく担ぎ込まれた病院で、医師たちは、それが稀に見られる類の“人格の分化”であることを明らかにしたそうだ。

心理学的な分析によると、ある子供たちは、両親や周囲の大人から与えられた罰を認めて納得することにより、新しい世界を作りながら自分の人格をその世界に合わせて行くという。このようにして子供は自信を深め、将来重要なポストに就いた時、より巧みに権威を使いこなし、自己利益にも一層敏感になる・・・。

私は初めこんな理論をまともに受け取らなかった。何故なら、子供の頃に見事な人格の分化を成し遂げたにも拘わらず、権威者となって地位を自己利益の為に利用することがどうにも巧く出来なかったからだ。しかし、もしかすると、経験した人格の分化は充分なものではなかったのかもしれない。

家族から完全に離れてしまうことがなかった為、今もって伝統的な古い道徳に囚われている。 それでも有難いことに、少なくともジャーナリストになれるぐらいの不道徳さは身に着けることができた。さもなければどうなっていたか・・・。

いずれにせよ私たちは、人格の分化を奨励した“9.12軍事介入”の時代に長い日々を過ごした。続いて起こった“2.28の軍事圧力”では、有能な人たちが人格の分化を輝かしいものにして見せる。社会は、左派だのイスラム主義者だの言いながら可能な限り細分化されて行く。そして今日、世界の人々を驚かした“モダンな個人の確立”は、こうして誕生したのである。今、周りを見渡して、その存在が誇らしくなるような数多の“徒党”を目にしたならば、それが自然と出来上がったものではないことに留意してもらいたい。

多分、一部の人たちはもっと運が良かった為、子供の頃に年上の子がボールを取って駐車場であるとか、警察署の中庭、あるいは軍の敷地内へ投げ込んだのかもしれない。そうして、世間にもっと調和できるような人格の分化を経験したのだろう。でも、まあ良かった。あのボールが墓地へも投げ込まれていなかったら、おそらくこうして新聞の記事を書いていることもなかったに違いない。

しかしながら、人格の分化には非常に重要な社会的側面がある。祖国の統一を守る秘訣が多少なりともここに見られるのだ。心理学の分野で度々証明されたように、人格の分化が起きなかった場合、その人格は極めて脆いものとなり、しまいには崩壊してしまう。つまり、医学で明らかにされているように「分化しないものは分解する」という訳である。この法則は間違いなく社会においてもそのまま通用する。分化しない、分化することを知らない、分化を拒む社会は、結局のところ分解するよりないだろう。

また、分化の過程を他者の手に委ねた場合、彼らは自らの分化した人格によって国を帝国主義者などへ売り渡してしまうかもしれない。その為、分化は公けの民族的な国家政策によって遂行されなければならない。まさにこの点で、“9.12軍事介入”と“2.28の軍事圧力”は願ってもない健全な歩みだったと言える。国を知り抜いている者たちが科学的な方法で国を分化させたことにより、まだ長年に亘って続く社会的な人格の分化が促された事実は疑いもないだろう。

そして、最近起こった事件では、良識ある全ての国民がホッと胸をなでおろすような展開があった。御存知のように、後からオケイ(訳注:麻雀に似たゲーム)好きだったと明らかにされたお騒がせな検事が用意した引用だらけの告訴状で、その名がさらされたビュユックアヌト将軍に対し、彼の上司(訳注:オズキョック参謀総長)は「彼は今や大きな(ビュユック)な記念碑(アヌト)である」と言ったのである。「彼は勇士だ」という常套句によって飾られたこの言葉は、新たな人格の分化を伝えるものだ。ここで将軍の名は見事に二つの単語へ分けられている。これの意味するところを見逃してはいけない。しかし重要なのは、形ではなくその内容だろう。つまり、この将軍は未だ生きているうちから記念碑となったのである。これを不愉快に思うのは祖国の分裂を望む者だけに違いない。

願わくは、彼らに今後もずっとアンカラの広場に居てもらいたい。その広場を鉄条網で囲い、国際サッカー場として現在の子供たち、そして明日の大人たちへ提供するのだ。彼ら自身が審判を務めるこの“民主主義と共和制の広場”において、多くの若い才能が大人たちに追従し、意識的な人格の分化が雪崩のように増えることを期待しよう。

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