【132】インジルリク基地の役割強化を望む米国【ミリエト紙】【2005.03.31】

3月30日付けのミリエト紙よりタハ・アクヨル氏のコラム。米国がトルコにあるインジルリク基地の役割強化を望んでいることに関して、アクヨル氏はトルコ政府の消息筋から得た情報を伝えています。

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アメリカがインジルリク基地の役割強化を望んでいる。これについて、アンカラの消息筋から得た情報を皆さんに伝えたいと思う。

現在、インジルリク(および他の各基地)は、以下のような協定に基づいて使用されている。

●防衛と経済協力:
米国との同盟関係を成立させるこの基本協定が変更されることは全く有り得ない。米国も変更を望んでいない。四半世紀に亘って変わることなく継続されている。

●国連の決議に基づいてロジスティックの役割を担う:
米国はこれによって、現在もイラクとアフガニスタンへのロジスティックを制限の範囲内で行なっている。そして、この役割の拡張を望んでいるのである。しかし、これはそれほど簡単なことではない。

大型輸送機が、インジルリクへ大型兵器やまとまった量の弾薬をもたらし、兵員が増強される。これが、一定の期間、インジルリクに集積された後、小型の輸送機によって、イラクやアフガニスタンへ運ばれることになる。米国はこれを望んでいる。

こうなった場合、インジルリクは単なる基地ではなく、「ロジスティックにおける統括本部」となるだろう。

消息筋によれば、「米国は、これをトルコの了解に基づいて行ない、対象はイラクとアフガニスタンに限られる。これ以外の如何なる憶測も正しいものではない」ということである。

詳細に関しては交渉が続いているが、原則において政府はこれを肯定的に受けとめている。しかし、政府を困惑させているのは、これの政治的な面である。つまり、トルコが中東における米国の兵站地という印象を与えることだ。これを是正する為には、以下のようなことが必要になるだろう。

●米国は、イラクに関わるトルコの疑念を払拭する。

●トルコは、中東諸国との関係を、「米国の代理人」ではなく「良き隣人」として発展させる。そして、米国はこれに反対しないことである。

例えば、シリアとイランに関して、トルコは国際社会と協調しながらも、「良き隣人」の雰囲気が漂う外交を心掛けるべきではないかと思う。

しかし、米国、特にネオ・コンと呼ばれる人たちは、これにも我慢がならないらしい。トルコへ圧力を加えるため、米国の右派言論を使って、揺さぶりをかけている。こういった指摘はアンカラでも聞かれた。

右派言論は、トルコをバース党の国、さらには病人であるかのように描くなど、醜悪な様相を示し、もちろん反発を受けているが、トルコでは、政府も国民もこれに心を痛めているのである。

イラクにおける米国の態度には、反省すべきところが山ほどある。

そもそも、イラクの選挙から2ヶ月過ぎたが未だに新政府は発足していない。発足したところで、火がつきそうな問題は、憲法の制定過程に引き延ばされるだけだろう。

仮に、米軍がトルコからイラクへ侵攻することを、トルコが認めていたとしても、トルコがイラクへ派兵することはなかったはずだ。しかし、その場合、イラクの問題にトルコも干与できただろう。結局、トルコからの侵攻を認めなかったために、米国はトルコの忠告に耳を傾けなくなってしまう。これに関しては、以下のような話を聞くことができた。

「米国は、キルクークのエスニック・バランスが崩れるのを黙認するどころか、これを支持する始末だった。現在、この米国が犯した過ちの為に、イラクでは政府の発足も憲法の制定もままならない状況になっている」。

米国の支援により立場を強くしたクルド人たちは、今、キルクーク、石油、ペシメルゲ(訳注:北イラクにおけるクルド人ゲリラ)に関して譲歩する気配を見せていない。シーア派およびスンニー派のアラブ人たちもこれに譲歩するつもりはない。この状況は米国が作り出したのである。

米国がトルコの忠告を聞き入れていれば、イラク再建の為に、より協調的な基盤を固めることができたはずである。過信したネオ・コンたちの高価な失策については、ファリード・ザカリア氏もニューズウィーク誌に書いている。

トルコとアメリカの関係を強化しながらも、地域へ安定をもたらそうとすれば、政治的な調整が必要となる。インジルリクはその重要なファクターである。

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