【120】トルコとアメリカ、そしてアラブ諸国【ミリエト紙】】【2005.03.15】

3月15日のミリエト紙よりタハ・アクヨル氏のコラム。シリアを始めとする中東諸国の民主化・改革に対し、トルコの果たすべき役割が論じられています。

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アメリカのトルコ大使エリック・エルデマンは、トルコとアメリカの友好を信じてやまない外交官だ。しかし、アンカラでは、エルデマンの手法に見られるぞんざいさが憂慮されている。

一つ最近の例をあげてみよう。セゼル大統領のシリア訪問が予定されているが、アメリカはシリアへの圧力を高めようとして、この訪問がキャンセルされることを要求している。エルデマンは記者団の質問に対し、「トルコは、シリアの件に関して、国際社会の側に立たなければならない・・・」と言うのである。

これは、「さもなければ、国際社会から外されてしまう」と仄めかしているわけで、衣の下から鎧をちらつかせているように思える。

イラクの件で米国と衝突したフランスさえ、レバノンからシリアを撤退させる為に米国を支持していることや、安保理も1559の決議により同様の見解を示していることをエルデマンは指摘している。これはもっともなことだ。しかし、伝え方が間違っている。

トルコはもちろんシリアがレバノンから撤退することを望んでいる。外務省は先週の月曜日になってこれを表明しているが、確かに、後手にまわってしまったようだ。これは、ベシャル・アサドがシリアの議会で演説する前に発表されるべきだった。

しかし、トルコも「撤退を望む」と表明しただけではない。メディアでは伝えられなかったが、発表があったその日、ギュル外相はシリアのハリド・ラード大使を外務省へ呼び出して、国連の決議に従いレバノンから迅速に撤退するよう、強く言い渡している。

メディアには伝えられなかったもっと重要なこともある。私もそれを昨日色々調べている最中に知った。エルドアン首相は、12月23日にダマスカスでベシャル・アサドへ次のように述べたそうだ。「レバノンから撤退して下さい。国連の1550決議へ従うように・・・。中東の改革が健全に進められるよう、各国間及び国際社会へ不安をもたらすこういった問題は速やかに解消されなければなりません」。しかも、米国はこの発言を知っているのである。

タイム誌に掲載されたレポートで「George Baghdadi」は、大統領ベシャル・アサドが中東問題に関して前向きな発言をした数時間後に、シリア政府から「発言が誤解された。本来の意図は・・・」という公式発表があった例を並べあげたうえ、「アサド大統領はバース党の国家組織を完全に掌握していない」という結論を導いている。

米国の外交官ホルブルックもタイム誌を根拠にしながら、CNNの「レイト・エディション」という番組で同様のことを語っている。

私もアンカラの政府筋から次のような話を聞いた。「中東は不安定な変化の過程にある。改革派のファクターを賢明なやり方で支持して行かなければならない」。

これはどういうことだろうか? ベシャル・アサドはバース党の官僚たちにこう言わなければならないだろう。「トルコは我々の友好国だ。そのトルコが、レバノンからの撤退は不可避と言っている・・・」。

トルコは西欧型の民主国家でありながら、中東における変化の過程で、内側から役割を果たすことが可能だ。もちろん、国連、NATO、米国、欧州はトルコにとって非常に重要であり、共に行動することが戦略上必要となってくる。

しかし、トルコは欧米と一緒になって、外側から中東諸国へ圧力を加えるべきなのか? それとも、同じ「平和・安定・改革」を内側から、つまり中東と友好的な関係を持つ国として支持して行くべきなのか? 

ニュアンスについては議論の余地があるものの、私には後者の方が有益に思える。忘れてはならないが、トルコはイスラム世界に対し、「改革・民主化・平和」のメッセージを、あの高慢なネオ・コンより前から伝えて来ているのである。

アラブ諸国において、民主化と変化のダイナミズムは高まっている。しかし、バース党の如き戦闘的な過去の蓄積があり変化を嫌う組織が、苛立ち扇動されることなく、賢明な歩みを見せてくれなければならない。ここでトルコの役割は重大である。

トルコは隣接する国々と健全な外交関係を発展させ、周囲に安全ラインを作る必要があるだろう。米国とEUもこれを知るべきである。

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