【102】近代化の中のトルコの遊牧民【ラディカル紙】【2004.12.10】

12月9日付けのラディカル紙より。トルコに今も残る遊牧民たちが、近代化の中で苦労している姿を伝えています。

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最後の遊牧民と言われるサルケチリ部族にとっては、定住も遊牧も困難な時代になってしまった。定住生活へ移るために用意された住居は空き家の状態だ。都市生活にはお金が必要となるが、彼らは牧畜以外の生業を知らず、山の生活を恋しがっている。一方で、山の生活を選んだ者たちは、テントを張る露営地がなかなか見つからずに苦労しているのである。

農政事業部は、オウズ族(訳注:11世紀頃に中央アジアからアナトリアへ進出したトルコ民族)のサルケチリ部族の為、カラマン県のドウクシュラ地区に88世帯の住居を建設した。しかし、2001年から無料で入居した遊牧民の多くは、この住居を棄て、厳しい自然環境にも拘らずトロス山脈の麓へ戻り、3年後には30世帯を残すだけとなった。残った人たちも、近所に囲いを設けて家畜を飼い、そこへテントを張って、家族の生活を殆どこちらでおくっている。

8人の子の父であるラマザン・ギョブットは、次のように語った。「大きな希望を懐いて山羊や駱駝を売り払い、2年ほどの間、その金で何か仕事を見つけようとしました。しかし、私は牧畜以外のことを何も知らなかったんです。結局、借金してまた山羊を50〜60頭買い入れたものの、牧舎も牧草地をなく苦労しています。良かったのは、子供たちが学校へ行けることぐらいじゃないでしょうか。山で私たちは幸せでした。都市では何でも金なんですよ、家畜の餌までもね。経済という言葉を学び、ストレスがなんであるかを知りました。山の暮らしは原始的なものだったかもしれませんが、生活に困るということはなかったのです」。

主婦のファトマ・チャブックも、かつての遊牧生活を懐かしがっている。「山ではテントを張って暮らしていたけれど、経済的に困るなんてことはありませんでした。ここで良いのは、子供たちが規則的に学校へ行けることですね。でも、お金が掛かって困っています」。

山に残った方も苦労している。サルケチリ部族互助会の会長ペルヴィン・チョバンは、12月1日付けの記事で次のように述べている。「我々は、中央アジアからアナトリアへやって来たオウズ族の流れを汲む部族です。しかし、夏はコンヤ県、冬はメルスィン県の遊牧地にテントを張ろうとすると、石や棍棒でもって我々のことを追い払おうとする村人がいます。井戸の水さえ使わせてくれようとしません。遊牧民の中には、徴兵逃れや犯罪者など一人もいないのに、何故我々を疎外しようとするんですか? これは我々の文化なんですよ。お金とか宮殿や邸宅なんて望んでいません。テントを張る露営地を探しているだけです。場所を示してくれれば、対価は国に払います」。

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